今回は湿気を起因とする「建物の結露」の話をさせていただきます。結露には、発生場所による表面結露と内部結露、季節による冬期結露と夏期結露、空気の流れによる透湿型結露(拡散型)と壁体内気流型結露(移流型)とがあり、これらのことが輻湊(ふくそう)されて発生します。
では結露を防ぐにはと言うと勉強が必要です。結露発生のメカニズムは当然ですが、水分の発生・移動や吸放湿(調湿に関係します)、圧力差による湿流と物をはさんでの透湿、土壁やコンクリートのように熱容量の大きい壁の温度移動と外気温の関係、毛細管現象、相対湿度や絶対湿度などを理解しなければなりません。
例えば、「Hi/R工法は、外断熱の通気層型なので室内の湿気を通気層から屋外にスムーズに排湿します」、この説明にも湿気に関することが含まれています。何故!室内の湿気が複数の材料を通り抜けるの?、外壁の仕上材がタイルや石ならどうなるの?、通気層に入った湿気は、どうして自然に屋外へ出ていくの?などの疑問が浮かんできますよね。この間、「湿気(水蒸気:水)は重いので下に降りてくる」と言った人がいましたが、湿気のほうが空気より分子量が少ないので軽くなります。